偶然Twitterでサンプルを見かけた漫画「野戦郵便局」を読んでほしい。
発表されたのは2021年5月5日だけど、まだ読めるうちにどうか、と思ってこの記事を編集している。
掲載はMAGCOMI、池田73号さんが描いたものだ。
twitter.com(あまり積極的にTwitterを更新される方ではないのかもしれない。ちょっと心配だけれど、気長に見守りたいと思う)
馬人(タウル)と人間が暮らしているベルドラ帝国が舞台のファンタジー。
お話は野戦郵便局に配属となった馬人:カリーナと、彼女の教育担当になった局員:ロルフ・リーの交流を中心に、種族や文化作法の違いから起こるすれ違いと葛藤を描いていく。新人のため間違いながらも真剣に業務に取り組むカリーナだが、事務所が狭くて室内に入れない、機械が馬人用の作りではない、雪が降っても外で待つしかない、何より同じ職場の人は誰も手助けしない...そしてある事件が起こる。
私が面白いと思ったのは、単なる「種族の違いを認め合おう」というオチでまとめていないところ。
珍しがられたゆえにカリーナに起きた事件に対し、リーは凄まじい怒りを見せるが、このとこから少数者はカリーナのような馬人だけではないこと、ヒト間にもまた別の葛藤や軋轢があることがわかる。
「黙っていては変わらない、自分の要求は自分から奪い取れ」
これは確かに必要なことではある(歴史上、人間も自分の権利を得るためにそうしてきた)。しかし、暴力で訴えるからこそ応酬が続いて争いが収まらないのでは?という問いかけも同時に発生するわけで、そこにどんな解決策があるのか、簡単にいう事はできない。
この文章を書いてて、作品を読み返してみて改めて思うのは、差別の当事者と目撃する第3者が時に入れ替わったり重複するんだ、という描き方だからこそ、考えたくなるものになっているのではないか。
作者さんの次回作が楽しみである。