今月読んだ本・観た映画【2023年6月編】

正直、6月はそんなに読んでないです。

結局ハマってしまったアークナイツの復刻イベント「風雪一過」で結構大変だったな...という記憶が強いですね。

arknights.jpお話としては非常にスリリングで面白かったです。

書籍編

テンバイヤー金木くん 2巻

神経質でワケありな小学生の転売屋:金木君と、楽観主義なテキトウ成人男性:大友のコンビを主軸にした「転売撲滅」がテーマなインモラルお仕事コメディ(いや仕事って言うのも変なのですが)の第2巻。

事業(※転売)拡大のため、在庫を置く倉庫が欲しくなった金木君。

大友のツテで探し当てた古いお屋敷を掃除していくうちに大量の骨董品を見つけますが、ゲーム機やコラボカフェのグッズとは勝手が違うものばかりのため、「そもそも物の価値がわからず値段がつけられない」ことに気がつきます。

解決策のために近所の骨董屋を訪ね、店主の名古木さんに鑑定を依頼。それを元に値段をつけた品物が次々とフリマアプリで売れていく様子を見た名古木さんは金木君に弟子入りを志願して......。

着物好きとしてはモンペを愛用する名古木さんのスタイル、アドバイスを取り入れて変わっていく実店舗の様子が見ていて気持ちよかったですね。

でもね、名古木さん、その人たち転売屋なのよ...という薄寒さが抜けないまま、金木君の実生活が明らかになりますが...。

次巻も楽しみです。

トランスジェンダー問題 議論は正義のために

SNSで見かけるセクシャルマイノリティに関する議論があまりにも酷すぎて、読むと体力が削れてしまう、けれど差別的な状況は否定したいしなんらかの力になりたい。

正直これは役立たずのぐうたらな願いなんですが、紀伊國屋じんぶん大賞2023でもランクインしていたことに背中を押され、抵抗を示す方法の一つとして購入しました。

store.kinokuniya.co.jp

読んでみての第一印象は...やっぱり問題としてはややこしくて難しいです。
なんらかの議論をするにせよ、①これまで実例があるか、②積み上げてきたものは何か、③前提の確認、最低でもこの3つを擦り合わせておかないと有益な議論にならないと思いました。
議論するなら当たり前の話? それもそうです。でもそれが全くできていないのがこの分野の問題なんじゃないでしょうか。

また、ピリオドひとつから筆者のバイアスに至るまで、注釈および訳者解説を丁寧に書いてくださった高井ゆと里さんの文章は行間から「絶対にこの内容を伝えてみせる」という凄まじい気迫を感じました。

日本史の一級史料

歴史学って、本来はこういう本から順に触れていくものなんじゃないかしら。

(イヤー...私はほら、何も知らないところから直接生の史料に突っ込んじゃったタイプなので...)

日本史の一級史料 (光文社新書)
 
 
 
 
 
 
 

夏休みを迎えた学生も増えている今、きっと図書館や資料館での調べ物に足を運んでいる人もいるんだろうなと想像します。

前半は、織田信長忠臣蔵など、日本史で多くの人に知られている有名な出来事を取り上げ、なぜ今のような形で描くことができるのか、を解説します。

後半は、史料探しから分析といった研究の具体的な様子を、研究してきた史料を取り上げて解説しています。

「歴史を読み解く力は、何よりも史料の現物を実際に見ていくことで培われる」という山本先生の言葉に心強さを感じ「よしやってみようか!」と思える本でした。

巻末には有名な歴史史料や所蔵している全国各地の施設のリストがまとめられているので、興味があればぜひ。

となりの百怪見聞録

ワーイ好きな漫画家さんの単行本だーイエー!!!

何かと"怪異"に好まれる男・片桐甚八と、"オバケ先生"と呼ばれる好事家の作家・原田織座のコンビが織りなす怪奇譚。

筆遣いに質感と肉厚さを感じる絵柄が好きで追っていた作家さんなんですが、この度連載&単行本発売ってことで書いました。

続きが楽しみー。

tonarinoyj.jp

映画編

トランスジェンダーとハリウッド:現在、過去、そして

www.netflix.comトランスジェンダー問題』を読み始めたこともあって、ひとまず映像の方が見やすいだろうということで視聴。

後半にトランスジェンダーの子供とその親を応援する企画の話が出てくるんですが(番組の企画元(?)であるカーダシアンファミリーの評価については人それぞれみたい)、とあるお父さんが「私の子供は自分が何者かをちゃんと表現している。とても素晴らしい才能を持っているんだ」と話す場面を引用しながら、とあるクリエイターの方が「わたしはこの話を聞きながらとても複雑な気持ちになる。なぜ自分の親は、友人は、同じような言葉を自分にかけてくれなかったのだろう、と。でもそう思うのは、わたし自身が自分のことを価値のある人間だと心の底から思えていないから」等と話す場面が一番印象に残っています。辛いよ...。そんな思いをさせちゃダメだよ...。

岸辺露伴、ルーヴルへ行く

https://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/

十年以上前に原作の漫画本を買った私へ、その買い物は大正解だッ!!!!

なんせ今じゃデジタル版でしか読めないみたいだからなァ。

スピンオフは実写ドラマが大好評。なんなら映画化されて本当にルーブル美術館でロケを敢行し、主演俳優を目当てに母親がいそいそと観にいき、JOJOそのものを知らなかった父親がフラッと観に行って「面白かったぞ、あの映画」って言いながら勝手に原作の漫画本を読み始めていた。

そんな光景が現実になったぞ。よかったな。

スパイダーマン:スパイダーバース

www.sonypictures.jp

何食べたらこんなすごい絵を思いつくの???

「アクロス・ザ・スパイダーバース」を観にいくからとひとまず前作見てみますかー、のノリで見始めておったまげた。こいつぁ何だ。とんでもねぇや。

日本のアニメだけじゃなく、アメリカ特有の「カートゥーン」まで網羅したキャラクターの表現の広さに恐れ入った!

...なんて思ってたら続編(↓)がもっと上を行っていた。

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

www.spider-verse.jp

何食べたらこんなすごい絵を思いつくの???(その2)

冒頭がグッゲンハイム美術館ルネサンス期からやってきたヴィランと「芸術とは何か」について話しながら戦うシーンなんですが、オシャレすぎない????

いやほんとこう、アニメとしてではなく「美術が動いている」感じなんですよね。しかもヒーローもののアクションで、妊婦さんからバンク青年、インドなスパイダーマンにカウボーイ、猫ちゃんまでちょっとここには書ききれないぐらいの「スパイダーマンのバリエーション」があって、物量だけでも圧倒されます。

本当の自分を吐露しても家族に受け入れてもらえない辛さと、トランスアライの表現が随所で重ねられてこう、表現としてうますぎる。

もう言いたいこといっぱいあるけどこの場では書ききれない(その2)。

ちなみに、スパイダーニャン(猫のスパイダーマン)が比較的リアル猫よりのデザインなのが好きです。

次回作楽しみ!!!