今月読んだ本・観た映画【2023年7月編】

7月も色々と楽しみましたよー

書籍編

『雪と墨』2巻

待望の第2巻!

調査のためにネネオの出身地である村までやってきたフレイヤ、しかし目的地に近づくにつれ、案内役を買って出たネネオ自身が体調を崩して動きにくい状況に...

この巻で一旦ネネオの話が落ち着くものの、今度はフレイヤの実家でいろいろあるような雰囲気。人は誰しも家族の問題は見ないことにはできませんね...次回、どうなる?

『大ピンチずかん』

「あるある〜」と思いつつニヤッとできる一冊。

「カバンからむかしのおにぎりがでてきた」のシーンが良いですね。
うん、私はもういい歳の大人だけど、今でもお弁当箱や保冷剤を仕事用のカバンに放置してしまうことがあります。わかる。

『刀 文豪怪談ライバルズ!』

積読を消化。

怪談や幻想小説はあまり馴染みがないけれど、東雅夫氏の選書であれば絶対に面白いはず!しかも表紙は『百と卍』の紗久楽さわ先生!買うしかないっしょ!と購入した1冊。

特にぐっと惹きつけられたのは宮部みゆき「騒ぐ刀」。
いわゆる「神通力」に長けた町娘のお初が、相棒役の与力見習い・古沢右京之介とタッグを組んで怪事件に挑むシリーズで、これはシリーズ中の中でも比較的初期のお話らしいですね。

所収は『かまいたち』だそうなので、こっちを読んでみようかなと思いました。

アンソロジーはこのように「面白かったから所収されている本を読んでみよう」・「他の作品が気になるのでみてみよう」となるので読書の幅が広がるのが楽しいところですね。

映画編

雄獅少年/ライオン少年

gaga.ne.jpTwitter(今は"X")で評判を見てからずーっと気になっていた1作。
見てみてびっくり。究極にリアルで繊細な空気感と光の表現が下支えする、伝統芸能を題材にした熱いスポ根ドラマでした。

冒頭のナレーションで解説がありましたが、中国の獅子舞は大きく「北派」と「南派」に分かれており、今回の映画で舞台となるのは「南派」。派手な装飾とアクロバティックな動きが特徴で、2人1組で演技を行います。

ちょっと走るだけでもヘロヘロに疲れていた主人公の少年:チュンが、紆余曲折を経て力強く獅子舞の演技を披露する姿に熱くなりますし、ラストが「勝利のさらに先はどうなるのか?」という話になっている構造がさらに深みを増しているように思いました。

なんと第2作目の製作・公開が決定しているそう(※下の記事参照)。こちらも楽しみですね。

chinanews.jp

不思議の国の数学者

これはもう静岡にある映画館・サールナートホールさんの紹介文がうますぎるので、まずはこちらをどうぞ。

 

https://twitter.com/Sarnathhall/status/1645677668560666624?s=20

klockworx-asia.com

数学っていうか算数の話なんですが、昔「おジャ魔女どれみ」のエピソードで、アメリカからやってきたももこちゃんが算数のテストで満点をとって、担任の先生から「数学は万国共通だな」って言われていたことを思い出しました(細かいところはちょっと違うかも)。

そもそも数学のおかげで人類の文化発展は成り立っている。

『たとえば、今年採れた穀物の収穫量を計算して、来年の収穫時期まで持つのかを考えることができなかったら人類はとっくに滅亡してるんだぞ』と話してくれた塾講師のお兄さん(確か当時は大学院生)は今は元気かしら。
言葉の意味は大人になってからようやく実感しましたわ。当時はすぐに理解ができない子供で申し訳なかったです。

数学に向き合うことで成長していく主人公と、数学を教える中で過去と向き合う警備員のおじさん、2人の師弟関係が見ていて心地いいものでした。

劇中で流れる円周率を音符に置き換えた「πソング」も美しく、数学が好きな人も嫌いな人も見てほしい一作でした。

ヴァチカンのエクソシスト

www.vatican-exorcist.jpどなたかが書き込まれていましたが、"SNSで勝手に盛り上がるサメ映画とホラー映画は絶対に面白い"、という傾向があるようです。

「ヴァチカンのエクソシスト」もその類のホラー映画なんですが、その盛り上がりのきっかけは本作のプロデューサーであるカッツ氏が日本語で呟き、数々のファンアートをリツイート(今は"Repost")して楽しんでいる様子が見えているからではないでしょうか。

ざっと見ていると、(おそらく)新日本プロレスが大好きで、部屋にジャイアント馬場の写真を飾っている様子。

私もこの盛り上がり方が気になって観に行ったんですが、予想以上にガッツリとホラー映画で、観終わってから少し体感温度が下がり、食欲もいつもより減っていた気がします。

というのも、Twitterの楽しそうなノリに影響されて「どちらかといえばコメディ要素多めのホラー映画かな?」と期待値の方向が向いていたようです...そんなことはなかったです......やっぱり怖かったよ...。

観ていてちょっと気になったのが、お話上仕方がない展開であるとはいえ、キリスト教において「女性」というのは「誘惑するもの」や「堕落させるもの」であり、「糾すべきもの」・「祓うべきもの」の象徴になりやすいのか? という点でした。

必要以上に「女性」を悪く取り扱う描写はなく、映画の良さを落としていることはなかったのですが、キリスト教そのものが持つ世界観と悪魔の邪悪さを身近に感じることができる内容でもあるため「宗教ってなんだろう」という疑問がずーっと浮かんでいます。

仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐・王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン

geats-ohger-23movie.com

家族の付き添いで見に行ったけれど、キングオージャーに関しては完全に楽しんでましたねぇ。

元々は友人の強い紹介で見始めたキングオージャーですが、なんと面白い!
だって自分から「俺が悪者になる!」と宣言するニチアサの主人公っていました???
アーサー王物語や十二国記のような壮大さと緻密な政治劇も織り交ぜされた内容にグッと引き込まれ、合間合間で見ています。

今回の映画は主人公・ギラがいよいよシュゴッタム王国の王様になるため、戴冠式を迎えるシーンから始まります。ただし、王様になるためには一度「死者の国・ハーカバーカ」へ行き、国の成り立ちを知らなければならないとのこと...

え、これ『ギルガメッシュ叙事詩』に似たようなシーケンスがあったような...冥界くだりだったっけ...え、すごくない?

ニモーナ

youtu.be

7月の終わりにすごいもの観ちゃった!

とある陰謀に巻き込まれ、女王殺しの濡れ衣を着せられた庶民出身の騎士:バリスターが主人公。指名手配され国中から追い回される彼に、あらゆる動物に変身できる自由奔放な"バッドガール"のニモーナが手を差し伸べます。
穏便にことを運びたいバリスターに対し「どうせ悪者なんだから悪いことしちゃおうよ!」と大暴れするニモーナ。絵に描いたような凸凹コンビの二人は、果たしてバリスターの容疑を晴らすことができるのか?

ヒトからダチョウに鯨まで、何にでも変身するニモーナのアクションが痛快で、ぐるぐると回るカメラワークはまるでジェットコースターのよう。

一方でウッと来るのが、ニモーナそのものを通して描かれる「多数派じゃないことの辛さ」です。
バリスターに「普通の女の子でいることはできないのか?」と問われ、ゴリラの状態で「"普通の女の子"って何? あたしはニモーナ、それでいいじゃん」と切り返す。
ニモーナは自分のアイデンティティが流動的で、人間の女の子な時もあればサメでいたい時もある。たったそれだけなのに、周りからは「普通じゃない」とずっと爪弾きにされている。

ニモーナのキャラクター造形は、製作を務めたND・スティーブンソン氏の経験がベースになっているそうで、セクシュアルマイノリティの暗喩とも取れるのではないかしら?

realsound.jp

あと、ちょっと別枠になりますがこちらも追記します。

新作歌舞伎 刀剣乱舞

kabuki-toukenranbu.jp発表があった時からずっと楽しみにしていました。

これまでアニメ・映画・舞台・ミュージカルと多角的な展開を続けてきた刀剣乱舞。ファンの間で「歌舞伎になったらすごいよね」とうっすら話が出ていたこともあったものの、まさか実現するとは。

言いたいことはたくさんあるけど、ざっと書き出すと次のようになります。

・題材は突飛ではあるけれど、演出と織り込んだ表現が古典的で品が良い。

・お話からセリフまで非常にわかりやすい。

舞台芸術としての厚みが段違い。
 一瞬で化粧・衣装を変えるのはお手のもの。新橋演舞場のキャパシティを最大限に活かした大道具も見どころの一つ。

・ゲーム中の楽曲が和楽器アレンジされ、なんと生演奏!聴くだけで幸せ。

・座席でお弁当を食べて良いのが新鮮(舞台中は飲食禁止)。
 演舞場内の売店で買えるお菓子も美味しいものばかり。

・幕間の時間が30分あり、お手洗いにとても行きやすくて助かる。

歌舞伎は定期的に新作を発表し、上演を繰り返すことで古典になっていく、という流れがあるそうです。

今回の歌舞伎が楽しめた人にはこちらもおすすめ!という情報を見かけたので、メモがわりに貼っておきます。

www.ntj.jac.go.jp国立劇場は10月末で一旦閉場するそうなので、その前に一回劇場に行ってみてほしいというお話も。

舞台装置がとても豪華で滅多にやらない演目だそう。

10月の上旬にこのお話の第2部をやるそうなので、そちらも合わせて楽しみに。

www.ntj.jac.go.jp

 

以上!7月に楽しんだものでしたー。