こんにちは、猫子です。
昨日7月8日に、時事ビブTVにバトラーとして参加してまいりました。
紹介された本をまとめます(★がチャンプ本です)。
紹介された本
1. ★永吉希久子『移民と日本社会 データで読み解く実態と将来像』(2020, 中公新書)
2. 室橋裕和『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』(2023, 新潮社)←私です
3. ジルベルト・フレイレ『大邸宅と奴隷小屋』上・下(2005, 日本経済評論社)
4. イーデス・ハンソン『会員制の国・ニッポン』(1982, 講談社)
5. ★『江戸のパスポート:旅の不安はどう解消されたか』(2016, 吉川弘文館)
テーマ「難民と移民」に合わせてスタンダードかつ話題と時間軸にも広がりのある5冊が揃った回だったと思います。
また、これまで毎月第2土曜日に開催していた時事ビブTVですが、今後は隔月開催になるとのことで、次回は9/9を予定しているそうです。
YouTube配信
紹介本について
『移民と日本社会』
「あまりこうした分野の本は読んだことがない」とおっしゃっていた中で、データを使ってわかりやすくまとめ、一番わかりやすいとおもったそう。
各国での移民政策の違いや各種の実験等についても引用されており、ざっくりと把握するには良さそうな印象を受けました。「移民との交流が多いところは偏見が少ない」という傾向はっきりしているそうなので、質問タイムやその後の歓談でも「まずは交流から」という話になりました。
『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』
私の紹介です。
実は直前の『移民と日本社会』の紹介時に「日本の場合は『コスメティック多文化主義』と言われ、料理や雑貨などのソフトコンテンツを表層的に楽しむだけで、移民そのものの受け入れを真剣に考えているわけではない」という話にだいぶぎくっとしてしまい、事前に考えてきた自分の紹介がすっぽり抜けてしまいました。
題名の通り、国道354号線沿いに移動しながら、パキスタン、バングラディッシュ、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジア、スリランカ、インド、ネパールなど様々な移民のコミュニティを訪ね、ディープなグルメに舌鼓を打ちながら、日本社会で生きる彼らの現状と歴史を知っていこうというルポルタージュです。
著者の室橋さんはタイに10年ほど住まわれ、現在は新大久保に住みながら「アジアの中の日本人」「日本の中のアジア人」をテーマに取材と執筆を続けているライターさん。
グルメレポートにお腹を空かせながらも「読むのが辛い...」と言いたくなるほどシビアな現状も知ることができ、移民・難民問題の入門編としておすすめの一冊です。
『大邸宅と奴隷小屋』
ブラジルの社会はどのようにできているのか?を知ることができる1冊なのだそう。
聞いた内容を元にすると「支配層であるポルトガルがちょっとだらしないため、よく言えば人間的、悪く言えば中途半端な体制がずるずると続いてしまっている」というのがブラジルの特徴になってきている、というものだそうです(ほんとか?)。
文化人類学の視点からまとめた本である様子。上下巻で読み応えがありそうです。
『会員制の国・ニッポン』
バトラーさんののお話を元にすれば、1960年に来日したタレントのイーデス・ハンソンさんが、実際に日本で経験したことを元に取材を行い、外国人として経験した日本の「嫌なところ」をまとめたエッセイ。
冒頭には入管での手続きの様子が会話で描かれていますが、さん付けなしの呼び捨ては当たり前、必要・不要の書類も担当者の匙加減。何十年も前の話ではありますが「かつて確実に酷い対応が行われていた」という点は事実として受け止めなければならない、と紹介されていたことが印象的でした。
▼イーデス・ハンソンさんについてはこちらを参照しました
『江戸のパスポート』
「難民や移民について考えていくうちに、そもそもパスポートってなんなんだろう?と思うようになりました」ということがきっかけで手に取ったそう。
要は「通行手形」なのですが、旅行や留学などの理由があり、正式に発行してもらえる人は良いものの、なんらかの事情で藩にいられなくなり、やむをえず飛び出してきたような人たちも確実にいるわけです。そういう「パスポートを持っていない」人たちが悲惨な目に遭っていたよ、というところもしっかりと描かれていたそうです。
『ヤモリの慟哭 武器を取る若者たち』の緒方樹人さんのお話(の一部)
正直、バトルが終わったらすぐに投票に移るのかなぁとおもっていたのですが、ゲストである緒方樹人さんとホストの太田剛さんの対談に移りました。
これがまぁ濃い。
詳細は実際に放送されたYouTubeを見てほしいのですが(1:43:50あたりから)、ミャンマーで軍事クーデターが起きて以降、若者が軍事訓練を受けるため、少数民族が暮らす山奥へ逃げ込んでいるという現状があるそうで、著作『ヤモリの慟哭』は氏名などを仮名に置き換えつつ、内容としては実話なのだそうです。
極端な話「軍に反抗する人間はすべて殺して良い」という教育が徹底されている部隊もあり、あまりの話の凄惨さと常識外れな状況が続くため、専門家相手でも説明がとても難しいと話されていました。
加えてこうした話を取り上げる国内のメディアが少なく、ミャンマーの現状が伝わらず、世論も盛り上がらないため非常にもどかしい思いをされていることが伝わりました。
※ちなみにミャンマー国軍関係者の一部が自衛隊で訓練を受けていると報道されており、これについても批判が起きています。
谷中の本屋さん TAKIBI
時事ビブTVの後半はホストの太田剛さんによる「選書de SHOW」があり、テーマに応じた選書を30〜50冊ほど紹介する時間があります。
今回はなんと77冊!非常に多岐にわたる内容とジャンルでした(詳しくはYouTube見てください)。
そこで取り上げた本は谷中の本屋さんTAKIBIにて購入することができるそうです。
「猫股亭」の名前の棚が目印!
第9回のテーマが「LGBTQに寄り添う」のため、その分野の本が充実しているようです。
以上、また次回!