昨年について書きたいことも溜まっているのだけど、新年が始まったので一旦それを脇に置いて、私の座右の書のことを書きたいと思う。
- 四方田犬彦『人間を守る読書』(文春新書)
- エドワード・W・サイード『オリエンタリズム』
- ジョー・サッコ『パレスチナ』
- 重信房子『ジャスミンを銃口に』
- エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』
- ジャン・ジュネ『恋する虜 パレスチナへの旅』
- エドワード・W・サイード『パレスチナへ帰る』
- アミラ・ハス『パレスチナから報告します 占領地の住民となって』
- クロディーヌ・ファーブル=ヴァサス『豚の文化誌
四方田犬彦『人間を守る読書』(文春新書)
四方田犬彦『人間を守る読書』(文春新書)は、私の「座右の書」だ。
大袈裟ではなく、この本と出会っていなかったらもっと早く人生を終えていたかもしれない。今でも大真面目にそう思う本である。
もう人間辞めちゃおうかな、と思うたびにこの本を開き、まだ知らないことがある、面白そうな本がある、図書館で探そう、読んでみよう、と思うことでなんとか人間として生きていけているところがある。
そして、最近何度もこの本を想起する理由としては、パレスチナで起きている虐殺行為にある。
www.aljazeera.com(※とりまAljaeeraのニュースサイトから)
『人間を守る読書』は、著者がある時期に触れた155冊の書評を集めた本である。内容は、
第1章 生のもの
第2章 火を通したもの
第3章 発行したもの
第4章 読むことのアニマのための100冊
...に分けられている。
書評自体は各媒体から集められており、基本的にどこから読んでもOKになっている。
著者は冒頭で「人々がお互いに不寛容になってきている助教だからこそ、あえて書物を読まなければいけないとおもうのです。書物というのは他人が考えていることです。凡庸にして古臭いように聞こえますが、他人の声に耳を傾けるという行為こそが、今必要とされているのではないでしょうか(p.8)」と語る。
出版当時よりもずっと切実に響く内容ではないだろうか。
そしてこの本、パレスチナとイスラエルの関係に言及した本が多いのだ。
初読時はなんでこんなにパレスチナ問題が多いのかなぁと疑問に思っていたのだが、昨年から報道されている内容を見てようやく問題の深刻さを感じることができた(遅いんだけどね!)
もちろん「パレスチナ問題」以外にも映画・文学・料理まで、取り扱うジャンルは本当に幅広い。
以下、作中で言及されている「パレスチナ問題」関連の書籍を列挙してみる。
全部は読めていないし、ざっと見返して書き付けたので抜けたところもあるかもしれない。気になるところは『人間を守る読書』を手に取ってみてほしい。
エドワード・W・サイード『オリエンタリズム』
ジョー・サッコ『パレスチナ』
重信房子『ジャスミンを銃口に』
エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』
ジャン・ジュネ『恋する虜 パレスチナへの旅』
エドワード・W・サイード『パレスチナへ帰る』
アミラ・ハス『パレスチナから報告します 占領地の住民となって』
あと、やや今回の主題からは外れてしまうけど、パレスチナを考えるならユダヤ文化も知っておかないとなぁとも思うので、言及されている一冊をここに記載する。
クロディーヌ・ファーブル=ヴァサス『豚の文化誌
正直、私はただニュースにオロオロするばかりで何にも問題解決に繋がることはできていないのだけど、「今、この本が存在する」と言及することが、私にできる抵抗手段の一つだと思うのだ。
昨年は多忙を理由に本が読めなかった分、今年は積読の消化も含めてたくさん読むぞ、と決意を改める。