ビブリオバトルonYoutubeライブに誘ってくださった益井博史さんの著書『ソロモン諸島でビブリオバトル ぼくが届けた本との出会い』を読み終わりました。
予約購入したのち、積んでいましたがやっと読破...。
知り合いが購入当日に次々「読みました〜」とSNSにポストしていて少々焦りました。
これは2016年に青年海外協力隊の隊員として、ソロモン諸島のサンタイザベル島を中心に活動していた一人の男性による記録です。
彼の名は益井博史。関西圏のビブリオバトルで名を馳せた凄腕ビブリオバトラーであり、私にとってはかつてビブリオバトル大学生決戦で共に「グランドチャンプ本」を目指したライバルであり同志です(...と、私は勝手に思っております)。
■概要
この本を読むと、主に以下のことが分かります。
・ソロモン諸島がどんな国なのか
・ビブリオバトルを開催するときの苦戦どころと楽しさ
・青年海外協力隊で何ができるのか
益井さんは大学生の時に出会ったビブリオバトルを伴い、ソロモン諸島の小中学校で「本って楽しいよ!」と伝える活動を行います。
開催にOKが出てやってみるものの、子供たちは「お話の内容を読み上げる」ばかりで、ビブリオバトルの醍醐味である「自分の言葉で語る」ことをしていない...
そんな彼が「あること」に気がついたシーンは、当時のブログで拝見してとても驚くと同時に、自分の見識・想像力の狭さを痛感したところでもあります。
■勝手に親近感
私情で恐縮ですが、学生だった頃にマレーシアのボルネオ島に2週間滞在する機会がありました。目的はマレーシアで現地の中高一貫校を訪問し、日本文化を紹介すること。
その中で印象に残っていることの一つに、サラワク州のシブ郊外にて、先住民族:イバン族の集落に一泊したことがあります。
当時は幸い、電気も水道も問題なく使え、夜は美しい星空を眺めることもできました。到着後は「日本から学生さんが来てくれた!」と方々から集まって夜遅くまで食事でもてなしてくださりながら、朝は早くから稲刈りに出るバイタリティに舌を巻きました。
その収穫を寝不足で手伝い、帰り側に族長さんから「旅の無事を」とお祈りと共に見送られたことが忘れられません(このとき何故か私だけ"Study Hard.(頑張って勉強してね)"と言われて送り出された記憶があります)。
その経験があり、益井さんが「ソロモン諸島に行く」と話したとき、同じ熱帯地域の国に向かうことで勝手に親近感を持っていました。
しかも、得意なビブリオバトルを生かして教育に携わると知って心が踊らないわけがありません。同時に、日本では想像もつかない環境、変えたくても難しい現状や思い通りにならないことの大きさも心配になりました。
きっと、この本に書きたくてもかけなかった苦労や思い出話もたくさんあるのでしょう。
それでも、この一冊が世に出た意義は大きいと思います。
■忘れた頃に咲いてくれ
私がマレーシアから帰るとき、同行した教授が「ここで君たちが子供たちに与えた出逢いは、きっと彼らの人生を大きく変えるかもしれない」と言ってくださいました。
きっと、もう忘れているかもしれない。けれど「新しい出会いで開いた扉」はいつまでもその人の心に良い風を送ってくれると信じたい時があります。
「教育の成果は10年後に出る」という話も聞いたことがあります。
いますぐ、ではなくても、もしかするともっと先、益井さんの行動がきっかけで面白いことが起きるかもしれません。
世界はほんの少し、良い方向に変えることができるかもしれない。と楽しくなる1冊でした。