今月読んだ本・観た映画【2023年9月編】

ちょっとずつ気温が下がりつつある昨今。

9月に入ってからは月毎の収支を見直すため、新規の書籍・漫画の購入を控えてこれまでの積読や図書館で借りられる本を中心に見ていくことにした。
さて、どこまで節約できるかな。

今回もエキサイティングな読書だったなぁ。

書籍編

プロジェクト・ヘイル・メアリー

図書館で予約申し込みをして、確か半年以上待っていた1冊。
読書好きの知り合いも太鼓判を押していた小説をようやく手に取ることができた。

ちなみに、これから読んでみたいという人は、あまりレビューサイト等は見ずに、すぐにでも本書を手に取った方がいいと思う。

「自分が誰かわからない」という状態から、思い出すごとに明らかになっていく状況と、じわじわ迫ってくる「リミット」に目が離せずぐいぐいと読んでしまった。この場ではこれぐらいしかいえませぬ。下巻は本当に気になるので読める日が待ち遠しい。

トランスジェンダー入門

トランスジェンダー問題』を一応読み終えたものの、どうも何か自分の知識が足りないぞ...という気持ちは拭いきれず。
訳した高井ゆと里さんのTwitterの告知を見て購入を決定。

読みながらまずはこの分野について知らなすぎた、と言うことと、この書だけが正しいわけではなく、トランスジェンダーひとり一人に異なるサバイブの物語があって、もっと耳を傾けられるべきであることを感じている。

こんな短文じゃなくて、もっともっと言葉が必要。巻末の関連書籍も参考になるので検索しまくっている。

エデュケーション:大学は私の人生を変えた

電子書籍版で読了。

きっかけはぬまがさワタリさんのこちらの記事。

numagasablog.com毒親」と言う単語は気軽に使いたくないんだけど、それでもこの本を誰かに紹介するときに「いわゆる『毒親』の濃度500%な両親の元で育った人の話でね...」と言ってしまう。それぐらい強烈なのだ。

簡単に言うと、極端な宗教的原理主義の価値観とサバイバリスト思考を持つ親の元で育ち、公教育に一切触れてこなかった著者が、ケンブリッジ大学ハーバード大学で学んで博士号を獲得するまでを描いたエッセイ。

もうこの親が本当にひどくて、たとえば火傷で皮膚がなくなるような大事故が起きても、母親が手作りしたハーブのチンキ剤と軟膏を塗っておしまいにしてしまったり、思春期を迎えてボーイフレンドに会いにいくため、おしゃれする著者を兄貴が髪を引っ掴んでトイレの便器に押し付けたり、それを母親が見ないふりをしていたり...という感じ。しかもこれで全体のほんの一部。

「公教育と病院・医者は敵だ」という認識が抜けず、無茶を言って都合の良いものしか受け入れない父親と、最初は自分なりに意見を言っていたのに徐々にイエスマンになっていってしまう母親に対し、大学で歴史学や哲学に触れて学びを深め、世界の見方が変わっていく著者。「私が育った場所は間違っていた」と認識するたびに「それでも家族だから、変わってしまった私でも愛してもらえるかもしれない」という揺り戻しが何回もあって、それがとても辛い。

DV被害の支援や児童福祉に関わる人には特におすすめしたい。語りたいことがたくさんありすぎるので、今はひとまずこの言葉で締めとしたい。

天幕のジャードゥーガル 3巻

冒頭で「書籍・漫画の購入を控える」と書いたが、あくまで「控える」であって、全く購入しないわけではないのだ。

特に応援している大好きな作品とあっては。

というわけでこちらも楽しみにしていた続刊。

モンゴル皇帝の第一皇妃:ボラクチンに会うことになったファーティマ。彼女の思惑を読んで動いたつもりが、大きく動いた政局と予想外の出来事の連続で...

連載されているサイトには本編と合わせて読みたいコラムも連載中だそう。

souffle.life結構長いのでじっくり読みたい。

映画編

スーパーマリオ 魔界帝国の女神

www.tc-ent.co.jp

4Kレストアで蘇る。(人によっては)懐かしのカルト映画。

こういう機会でもなければ見ないっしょ〜という軽い気持ちで劇場へ行った作品。

出てくるのは人間化した爬虫類にマッドマックスを彷彿させるカーアクションにネバネバのキノコたち.........これ、スーパーマリオに題材を取ったファンタジーアクション映画として捉えた方が面白いかも?

自分はこういうテイスト好きですが、なんせ「スーパーマリオ」なので、「明るい子供向けの楽しい映画」を期待しているとだいぶ変に思うかも。
それでも、ゲームを映画化するという難易度の高い企画を形にしているし、無闇に「駄作」とはいえないんじゃないの?と思う次第。

SANDLAND(サンドランド)

sandland.jpこれは超良かったぞ。

というかなんで主役の渋いおっさんこと保安官のラオの声が山路和弘さんであることを宣伝で言わないんですか???

最高だったが!?

水不足にあえぐ砂漠の世界で、どこかにある「幻の泉」を探しにいくというのが大まかなあらすじ。

とにかく声優陣がとてもいい。

ゲームや機械が好きな自称"極悪"な悪魔の王子は田村睦心さん、物知りが小言がうるさいお目付役のシーフにチョーさん、能力ある軍人でありながら理想と過去の軋轢に悩む軍人:アレ将軍は鶴岡聡さん、物語の全ての元凶であり、悪知恵が働くゼウ大将軍に飛田展男さん。

凄すぎでは?

また、主人公トリオが乗り込む戦車が丸っこくてちょっとかわいらしさがあるし、砂漠なのに海パンと水泳用ゴーグルを外さない悪党一味のスイマーズもいい味を出している。

国葬の日

kokusou.jp

うーん、改めてなんじゃこりゃ、というか。

意見の違う他人と、人間関係を保ちつつ議論をする、という会話のテクニックや経験を積む場が日常生活になさすぎる。

だから政治的な話題を持ち込んだ時にどうしても意見が違うことが目立つし、同じじゃない点を攻撃しあってしまうので、今まで通り友達だよな、とはなりにくい。

そういえば、修士論文市民運動の関係者に話を聞いていた時に「昔はまだ、意見が違っても話をすることができたけど、今はお互い言いっぱなしになっちゃってないかな」という話を言われたことがある。

もしかして日本人って戦後ずっと政治的な話題を取り扱うことが苦手なまんま70年以上たってしまったのでは。という絶望的な思いにもなる。そんなんじゃ市町村レベルの施策だって議論が進まないじゃないか。

一方で自分は意見の違う相手に冷静になれないと思うこともある。

安保法制に反対するデモに参加していたころに「僕は賛成なんですよね」という学生にあったことを思い出す。飲み屋までついてきたので会話したときにそう聞いたけど、その一瞬で体にゲキレツとも言っていい怒りのような「お前は間違っている!」と糾弾したくなる気持ちが走ってしまったことがある。

もちろんそれをぶつけても相手の意見が変わるわけではないので、何も言わなかったけれども。

嫌なことは嫌って言おうか。

ストールンプリンセス キーウの王女とルスラン

stolenprincess.jp

ウクライナ発のアニメーション」と聞いて「面白そうな映画が日本で見れるお手伝いができるなら」と、非常に少額なプランだったけどクラウドファンディングに参加した一作。

アニメ文化は日本だけのものじゃないし、海外発の作品こそ日本で観れる機会はしっかり確保できるといいな。と考えているので、こうした作品に注目が集まることは良いと思う。

マジック

filmarks.comタミル語圏映画界のスーパースター:ヴィジャイの映画をいかがでしょうか?と友人から声をかけていただき、見に行った作品。

「5ルピーで診察する医者」として知られている人格者:マーラン医師の周辺で、医療関係者の失踪事件が相次ぐ。警察はマーラン医師を容疑者として逮捕し尋問するが、そこには壮大な「マジック」がかけられていた...

そもそもインド映画は情報量が桁違いに多く、全くあらすじを知らずに見に行ってしまったので、展開の速さについていくだけで精一杯。とりあえず主役の"大将"ヴィジャイを追いかけてしっかり見ていくうちに驚きの結末へ...という感じだった。

インドと日本では違う部分もあると思うけど、信頼できる医師に診てもらい、適切な治療を受けたいというのはどんな場所に住む人も変わらない。
医師になる人が増えても制度が腐敗していたら話にならないよ、というのは他人事にできない話題だ。

ちなみに、リンク先に行けばもっとまともなあらすじが読めるけど、映画の面白さを優先するならこんな書き方の方が良いのかな?と思っている。

マスター、先生が来る!

spaceboxjapan.jp多分これは静岡シネ・ギャラリーさんの紹介を見た方が絶対早い。

確かに「更生の意味とは...」なんて思ってしまったし、何がどうなってこうなっちょるんやと思わんわけでもない。けれど勢いがあるし凄みはある、うん。

パンフを拝見し、コロナ禍のインドで莫大な興行収入を上げた作品とあったので、これもまた劇場に人を呼び込んだ作品だったんだろうなぁと思う。

ちなみにこの作品、サントラが各種配信サイト(例:Apple Music)で聴ける。

Master (Original Motion Picture Soundtrack)

Master (Original Motion Picture Soundtrack)

  • Anirudh Ravichander
  • タミル
  • ¥1833

music.apple.com

さて、10月ももっと楽しむぞい。