だから私は本を読む

自分が本を読む理由ってなんだろう。

それを一度書いてみたいと思う。

時折亡霊のように「ネットがあるから本を読まなくてもいい」という話が跋扈するけれど、それでも本は必要だと思う。

自分が本を読む理由、というより、本を手に取る拠り所にしている3つの言い訳みたいなものを書いていく。

漫画家になりたいから

これねー、ちょっと書くと恥ずかしいのだけど、小さい頃は漫画家になりたくて、それ関係の本をなるべく手に取っていた。

そもそもの私の読書への関心のスタートはそこなのだ。

特に近所の図書館に所蔵があったこちらの本については、穴が開くほど読み返したなと。

多分小学生か中学生くらいの頃だったと思う。
「絵はどうとてもなるけれど、漫画はとにかく『面白いお話』を作れなきゃいけない。だからお話がたくさん作れるように、今からたくさん本を読んでおくべきだ」
そう思ったから、手当たり次第本を読むようになっていったと思う。

あとついでに思い出したのだが、高校生の時に仲が良かった先生と「今は『漫画を読んで漫画を描く』時代だけど、『ベルばら』なんかの漫画家さんの世代は『小説を読んで漫画を描く』って人たちだから、お話の作り方が小説だよね」と話した記憶もある。
だから「小説を読んでできる発想」も大切なんじゃないかと考えていた。

小説を読む、という行為を(雑に)分解すると、視覚に頼らない表現をもとに、自分の頭の中でイメージを再構築する作業をして物語を再現し、楽しむことになると思う。
この「頭の中でイメージを再構築する」ことが、個人の発想力を耕していく一番の力になるんじゃないか。

もちろん、漫画も映画も音楽も近いものはあるけど、ダイレクトに「頭の中を耕す」のはやっぱり小説がもってこいなんじゃないか。

そしてこちらも読んだ時期は曖昧なのだけど、塀内夏子『雲の上のドラゴン』もとても助けられた1冊だ。

作中では塀内先生の添削講座に始まり、プロになるまでの紆余曲折が描かれる。
特に参考にしたのは「映画をたくさん観ること」。

塀内先生は高校生でデッサンを学び、美大に進学したのちにアニメ制作の現場で背景を描く仕事につき、その後漫画家を目指していったという方。

高校時代のデッサンについで、絵づくりの下地になったのは数々の映画だったという。
俳優さんを真似して描くことから、画面のライティング、脚本など、映画の世界を楽しみながら、物語を伝える画面作りを吸収していったとか。

以降「映画を観る」ことも趣味に加わり、今日に至る。
(だから午前10時の映画祭の実施はものすごく嬉しかった!)

asa10.eiga.com

ちなみに昨今はプロじゃなくても楽しく漫画を描いていいのだなと腑に落ちているので、夢が叶っていない点についてはあんまり気にしていない。

読書マラソンに参加した(い)から

読書マラソンとは、全国大学生協連が進めている読書推進キャンペーンのこと。

www.univcoop.or.jpエントリーカードに必要事項を記入して提出。読んだ本1冊につき、コメントカードに感想を記入して記録をつける。カードをお店に持っていくと、スタンプが押され、集めた数に応じて生協の割引券がもらえる(はず)。「大学4年間で本を100冊読もう!」が公式の文言だけど、もちろんそれ以上になってもOK。

実はこのキャンペーンの存在を知ったのは高校生ぐらいの時。
単純に「面白そう!」と思ったのだが、調べると大学生限定の催し物だと知り、なんだか悔しくなってしまった。
しかし思ったのだ「読んで感想を書くだけなら、自分一人でもできるじゃない」。
そう思って、手元のノートに読んだ本の感想を書き、「ひとり読書マラソン」を始めたことがある。

「読んだ本について書く」行為にはもう一つ、華恵さんの『本を読むわたし -My Book Report』にも影響を受けている。

自分より年下の女の子がこんなに大人びた文章を書くんだ! と衝撃だったし、それなら自分も何かやらないと! と焦ってもいたと思う。

その後無事に大学生になった際、気付くのが遅くて2年生ぐらいから始めたと記憶している。
当時の生協ではコメントカードを書いた本を実際に購買部で仕入れて売ってくださったので、(割引券がもらえることも嬉しかったが)それ以上に「自分の推し本をみんなに見てもらえる!」という意味でもカードに記入するときはとても張り切っていたような気がする。

また、すでに初めていた同じ学科の子がものすごく面白そうな本を出していて、悔しいとも思った。
そういえば、野沢尚反乱のボヤージュ』は読書マラソンで出逢った1冊だったなぁ。

もう大学生じゃないので参加できないけれど、思い返すとなかなか楽しい企画だった。

今は感染予防でキャンパスに出られない状況もあると思うけど、読書マラソンはやっているのかな。こう、同世代がどんな本を面白いと思っているのかを知ることができてとっても楽しかったので、できれば参加する人がいて欲しいな。

ビブリオバトルを続けているから

大学1年で出会ったビブリオバトル
これは本を紹介し合うゲームで、読んで面白かった本を持ち寄り、1人持ち時間5分で面白かったところを紹介し、全員の発表が終わったら「一番読みたい本」に投票するというもの。

www.bibliobattle.jpゲームの観戦から主催まで、気がつくと正確に数えるのを忘れるほど参加してきたビブリオバトル。見たバトルは手帳に記録し、最近だとカーリルで読みたいリストに入れているので、実は積読だけでも常時200冊以上はある。

calil.jpカーリルの良いところは図書館の所蔵が横断検索できるところなので、所蔵がない本は購入をすぐに検討できるところだ。

また、ものぐさで記入していない本もあるため、過去のビブリオバトル参加記録を記載した手帳はいまだに捨てられない。

面白そうな読書ゲーム「フラグフレーズ」

ちなみに昨年「フラグフレーズ」というゲームを知る機会があり、ちょっと興味がある。

note.com作家の竹内真さんが考案された読書ゲームだそうで、上記note以外に『三田文学』147号でも詳しく取り上げられている。

フラグフレーズの実施もそうなのだが、今年は昨年購入した本の積読状態を解消すべく動こうかと思う。この間うっかり積み上げた本を倒してしまい、たまたま近くにあったゴミ箱にどさどさどさっ! と落ちたのを見て悲しくなってしまったのだ...。

さーて、今年も楽しい出会いがたくさんありますように。