「ずっと会社に居る」ことに違和感があるあなたに / 『アライアンス --人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』

 読み終わったタイミングで時間ができた。

尊敬する人生の先輩曰く「そのうちやろう、と思っているうちに人生がおわる(意訳)」かつ「インプットしつつアウトプットすべし」という。

であれば私もそれに倣ってみようと思う。

『アライアンス--人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』

 実は

転職活動を始めた。
まさに今日、はじめて「転職の面接」なるものを受けた。
新卒と違い、中途採用は「やめる理由」と「入りたい理由」がぐっと明確になる。
面接官の方に恵まれたおかげか、すっきりとした会話が続いた気がする。
(私のほうが準備不足で申し訳ない感じだったのだが...)

 

そしてもうひとつ

実は、現在の職場で採用活動にかかわっている。
主に新卒採用のお仕事で、学生さんや人材紹介会社の方とお話しする機会に恵まれた。
諸事情により片手間業務だったのだが、最近、採用関係のお仕事に本腰を入れることができるようになった。
ふと「参考になる本はないだろうか」とおもって検索をかけ、出てきた一冊がこちらの本だった。

離職してもよい関係でいよう

この本の良いところは「終身雇用なんてありえないじゃん」という気持ちを代弁しつつ、「離職しても、人間関係を続けることで会社にも本人にもメリットがありますよ」と提案してくれるところだ。
採用活動をしていると採用する側/される側双方で「長く会社で働く」ことを暗黙の了解として話を進めるように仕組みが作られている。でも腹の底ではお互い「いつか辞めるかもしれない」という考えがないわけではない。
私が就職活動をしていてとても違和感があったのは、こうした「辞める可能性」をまるでなかったことのように扱う就活の雰囲気だった。
その点、この本は「あらかじめ社員を雇用する期間・プロジェクト・期待するスキルなどをしっかり決めたうえで雇用し、離職することになっても前向きな関係を築いていきましょう」と話している。
うむ、気持ちがよい。
私は今のところ経験がないけれど、離職した方から「この人そっちの会社にいいかも」と紹介されたら「おお、あなたがおっしゃるなら」とお会いしてみたくなる。
「在職していた」ことは強みになる、それをもっと活かす働き方に変わっていくのでは? と本の中では書かれている。

業種によっては難しい

しかし、この本に書かれていることが「すべての人に使えるわけではない」と著者の方もおっしゃっている。
なにせ、人材獲得競争激しいシリコンバレーで育まれた、一種の「業界文化」といってもよいことだからだ。「シリコンバレーでできたからウチでも」と安易に取り入れることはできないだろう。
正確な理解でないので恐縮だけれども、「アライアンスの期間を決める」...とは「それいわゆる派遣雇用では?」と思わなくもない。
それに、事情によっては「前の職場と関係を持ちたくない」と思う人もいるだろう。本の中でも「ハラスメントや係争中の社員は除外する」という施策が紹介されている。

より良い人生のために

それでも、今後こうした働き方のマインドが広がっていくのかもしれない。
「組織で働く」ことは複雑で大変、かつやりがいがある。どんな職場でも、培ったスキルはあるはずだ。
取り急ぎで申し訳ないけれど、関係を切るような雇用ではなく、さらに広くつなげていく雇用を考えるために有用な本だと思った。
つまり転職とは、あらたな始まりなのだ、と。