父親に「どうせ俺のことなんか嫌いだろう」と怒鳴られたので、辛淑玉『怒りの方法』について書く

 これは愚痴なんですが、先日父親に「俺はこれまでずっと家のために、家族のことを思って働いてきたのに、お前は俺を馬鹿だと思ってるのか!ボケ老人だと思ってるんだろう!お父さんのことがそんなに嫌いか!ああそうか嫌いなら嫌いでいいよ!(意訳)」と怒鳴られました。
 私は鶏もも肉3枚分の唐揚げを揚げながら父親の言葉を聴いていて、ここで「お父さん嫌い」って言ったらたぶん一生人間関係に亀裂が入りそうだなと思ったので黙ってしばらく聴いてました。怒鳴り散らす相手に対しては、本人が落ち着くまでひたすら聴いた方がいいので。ただ、怒鳴られている間、菜箸で唐揚げをひっくり返す手がずっとガタガタと震えていました。やっぱり怖かったみたいです。

ちなみに、父には同じようなことで過去3回ほど怒鳴られたことがあります。

怒りの方法 (岩波新書)

怒りの方法 (岩波新書)

  • 作者:辛 淑玉
  • 発売日: 2004/05/20
  • メディア: 新書
 

 ひとまず今はお互い怒りを収めていますが、日を跨いでも父親の雰囲気がギスギスしていてなんとなくやりにくいです。すっきりしないので文章に書き残しておこうと思ったところ、『怒りの方法』を思い出しました。

読んだのは確か自分が高校生のときだった気がします。
著者の辛淑玉さんは確かテレビ番組「世界一受けたい授業」にも出演されていました。
参考リンク→ 世界一受けたい授業

 本書の内容を一言で表すなら「効果的な『怒りの方法』を身につけて人とより良い信頼関係を築こう!」というものです。
読んだ当時素晴らしいと思ったのは「社会に対して怒る」やり方についても言及があることでした。

 さて、肝心の著作は自宅の本棚を漁っても出てこなかったので、以下で書く書籍の内容はうろ覚えになります。

 書籍では「怒りのパターン」として4つに分類されているのですが、これに照らすと、父は「怒鳴り散らす」ことが主な怒りの表現だと思っている人のようです。先に言うと、「対個人」でしかも「自分の子供」相手に怒鳴るのは、「今すぐそれを止めないと大怪我する」時以外は逆効果だと思います。現に私は「言うこと聞いたけど父親への信頼はガタ落ち」と言う状態です。また、これは父も同じで「娘は信用できない行動を取る」とずっと思っているはずです。
著者は怒りをパターンで分類した後、効果的に怒りを伝えるために以下のやり方を推奨します(私が覚えている範囲なので、正確な内容は書籍に当たってください)。

  • 「私は怒っている」と口に出す or 認識する
  • 一度リラックスする
  • 「どうして、何に怒ったのか」を整理する
  • 怒りを伝える相手と落ち着いて話す機会を設け「あなたの言動のここが不愉快で私は怒りを感じました」と伝える
    ※このとき、「硬さ:柔らかさ=8:2」で自分の服装をスタイリングすると効果的
  • 相手が自分の話を聞いてくれたら「聞いてくれてありがとう」と感謝の意を伝える

 さて、私の話に戻ります。
 今回、父親が怒鳴り散らした原因は私の「ものの言い方」が良くなかったこと。
些細なことでアレですが、「唐揚げ、お皿に直接乗せれば?」とお皿を取り出した父の提案に対し、既に揚げ始めた油鍋から振り向きもせず「別にいーよ」言ったことが引き金になりました。しかし、実はこれには積み上げがあります。
数日前に『映画「Fukushima50」は面白かった!自衛隊様さまだなぁ』と嬉しそうに感想をいう姿や、腰が悪い母の整体に『夫がついていけば医者の態度が真剣になる=良い薬や処方を受けられる。だから一緒に病院に行こうか』と提案して嫌がられていた様子を私が白い目で観ていたことがあります。

「言葉遣いに気をつけるよ」と言ったものの、正直父親が嫌いです。

 「なんでこんなことするんだよ!」って怒鳴るのは、「相手の原因を探る」のではなく「自分が理不尽な扱いを受けた怒りをぶつけたい」意図の方が強かったりします。
相手がしている行為をやめてほしいのであれば、「その言い方をやめろ」と静かに言うだけでいいと思うのです。お互い子供じゃないんだし。

 あと、これは後から考えてゾッとしたんですが...父が私を怒鳴りつけたの、台所なんです。

 例えば、もう少し私が短気で手が出るのが早い人なら、すぐ近くの引き出しから包丁取り出してたと思います。手を伸ばせば届く距離でした。それから、父がもっと粗野な人なら私が何か言うまで(例えば「ごめんなさいもうしませんお父さん大好きです」とか)包丁突きつけてたり、腕に切り傷をつけていたり、髪の毛を切り落としたりしたかもしれません。

 こうした「怒鳴り散らした結果、相手から物理的な攻撃を受ける可能性」って、軽率に大声を出す人はあんまり考えないものなのでしょうか...。

 父は実力行使をしないだけまだマシですが...近頃は何かと思い通りにいかないことが多く、常に多大なストレスを抱えた状態にあります。いつでも沸点を超え、一線を踏み越える可能性が十分にある以上、あらゆる人が「怒りの方法」について折に触れて見直すことも必要ではないでしょうか。